最近、あのコ、変なのよね
――ある夫婦のある日の会話――
「最近、あのコ、変なのよね」
「どう?」
「足元がふらつくのよ」
「気のせいじゃないのか?」
「歩くときふらふらするの」
「幾つだったっけ、あいつ。」
「十二か三ね」
「もうか、まだか、どっちだ?」
「まだよ。この間なんか、ふらついた拍子に柱に頭ぶつけてるの」
「そっちは何ともなかったのか?」
「そっちって?」
「ぶつけた頭だよ」
「大丈夫でしょう。それに、そう大した頭じゃないし」
「覚えないし、忘れるしな」
「丈夫なのだけがとりえだったのにね」
「医者に見せたのか?」
「特に何ともないって」
「当てになるのか、その医者。やぶが多いからな」
「でも、マタタビやっても喜ばないし」
「そりゃ心配だな」
(完)
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